黒い歴史2012 第0章:あとから分かったこと:私小説的記録

 昔から、あまり喋らん。
 言葉にする前に、相手の顔を見る癖がある。
 そのせいで、誤解されることもあった。

 何も言わへん人間は、
 何も考えてへんか、
 全部分かってるか。
 だいたい、そのどちらかに振り分けられる。

 あの頃のワイは、
 状況を見ているつもりやった。
 誰が口を開き、
 誰が黙ったままやったか。
 視線が、どこに落ちたか。

 後になって、
 それが事実やなく、
 距離を取る作業やったと知った。

 真相を知った今でも、
 誰かを責める言葉は浮かばん。
 せやけど、
 何もなかったとも言えへん。

 この話は、説明やない。
 ワイが、
 どの位置から人を見ていたか、
 その記録や。

 あの日、
 最初に声をかけてきたのは――
 あいつやった。

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