黒い歴史2012 第3章 断罪:私小説的記録

Yさんが辞めてから、会社の空気は変わった。
露骨やないけど、どこか重い。
誰も理由を言わへん。
けど、皆「何かあった」ことだけは共有してる。

ワイは関係ない。
そう思うようにしてた。
Yさんとは、もう話してへん。
Wとも、距離を置いたままや。

数日後、噂が回ってきた。

「盗撮動画、出回ってるらしいで」

最初は意味がわからんかった。
誰の、何の話かも曖昧で、悪質なデマやと思った。

「警察も動いてるって」

その一言で、背中が冷えた。

昼過ぎ、人事の人間がワイの席まで来た。
名前も顔も、ほとんど知らん人や。
肩を軽く叩かれて、静かな声で言われた。

「ちょっと、会議室来てくれる?」

その言い方で、もう察した。
逃げ場のない話や。

会議室には、人事と上司が揃ってた。
机の上に、見覚えのある箱が置いてある。

「このカメラ、知ってるよな?」

心臓が、一拍遅れて鳴った。

ワイがWにプレゼントした、小さいカメラや。
長時間録画できるやつ。

「盗撮に使われてたものや」

淡々と言われた。
責める口調でも、疑う口調でもない。
それが逆に怖かった。

たれこみがあったらしい。

「君のSNSも確認した」

漫画の話が出た。
Yさんをモデルにした官能的な内容。
過去の投稿、スクショ、全部並べられた。

「総合的に判断した」

その言葉で、話は終わってた。

ワイは言うた。

「ワイは盗撮してません。
 それは同僚にプレゼントしたカメラです」

それ以上は、聞いてもらえへんかった。

数日後、解雇を言い渡された。

理由は、明確には言われへん。
コンプライアンス。
社内秩序。
リスク管理。

便利な言葉ばっかりや。

確かに、ワイはやりすぎた。
漫画でYさんを意識してた。
容姿も、雰囲気も、寄せすぎた。

嫌な気分にさせたやろう。
それは否定せえへん。

けど、
それで盗撮犯扱いされて、仕事まで奪われるんか?

納得はいかんかった。
せやけど、抗議する気力もなかった。

会社を出る時、
誰も声をかけてこなかった。
視線だけが、刺さった。

正義は、いつも静かや。
説明もせえへん。
弁解の余地も与えへん。

その頃のワイは、
自分は被害者や
そう信じて疑わんかった。

まだこの時点では、
自分が「断罪される側に立つ資格」を
ちゃんと持ってたことに、気づいてへんかった。

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