昔から、あまり喋らん。
言葉にする前に、相手の顔を見る癖がある。
そのせいで、誤解されることもあった。
何も言わへん人間は、
何も考えてへんか、
全部分かってるか。
だいたい、そのどちらかに振り分けられる。
あの頃のワイは、
状況を見ているつもりやった。
誰が口を開き、
誰が黙ったままやったか。
視線が、どこに落ちたか。
後になって、
それが事実やなく、
距離を取る作業やったと知った。
真相を知った今でも、
誰かを責める言葉は浮かばん。
せやけど、
何もなかったとも言えへん。
この話は、説明やない。
ワイが、
どの位置から人を見ていたか、
その記録や。
あの日、
最初に声をかけてきたのは――
あいつやった。









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